Pedago-Philosophy #01 問答法

去年、AWS Academy Accredited Educatorという資格を取得するための勉強を座学で行っていた際、AWS Academyの先生からある質問をされた。

クラウドとはなんでしょう。

頭が真っ白になった。クラウドが何かは感覚的にわかる。AWSはクラウドですか?とかの質問であれば即答できるのだが、クラウドがそもそもなんなのか答えれなかった。「Amazonのオンプレ」と答えて、おちゃらけ気味に質問を回避しようと思ったが、そのような雰囲気ではなかったので場が鎮まった…

模範的な回答は

クラウドとは、コンピューティング能力やストレージ、データベース、アプリケーションをインターネット経由でオンデマンドかつ従量制で支払うを行うサービス

である。

この三つのキーワード

  • インターネット経由
  • オンデマンド
  • 従量制

さえ抑えていればOKとのことだが、それよりもAWSやクラウドを知った気でいた自分自身に驚愕した。自分はAWSのサービスは大体定義できるものの、クラウドを定義できない。クラウドなくして、AWSはないのに…

がむしゃらにAWS関連の知識を蓄えていたが、上辺だけの知識であることを認識した。

「無知の知」とはこのこと。

よくよく考えたら、AWSのサービスを定義するときに使用する単語の定義も怪しいところだ。

例えば、AWS global infrastructureを説明する際はこのように説明する。

AWS global infrastructure はクオリティの高いグローバルなネットワークパフォーマンスを備えており、柔軟性で信頼性に優れ、スケーラブルで安全なクラウドコンピューティング環境を提供できるように設計及び構築されている。

クオリティの高いグローバルなネットワークパフォーマンスとは?柔軟性とは?信頼性とは?スケーラブルとは?安全とは?

学校にいた頃は、このような問いを投げかてくれる生徒がいるおかげで、どの単語の理解が曖昧なのか認識できた。しかし、不覚にもこのような問いを投げかけてくれる環境から離れた場合、自分は本質的に単語を学べなていないのであった。相手の矛盾・無知を自覚させるための問いを何度も投げかけることにより、物事の本質(真理)に近づく方法を問答法という。

古代ギリシアの哲学者ソクラテスはこの手法を用いることにより、古代ギリシア時代で賢いと認識されていたソフィストが、ただ単に知者のように振る舞っているピエロのような存在であることを暴いた。その報復としてソクラテスは冤罪をかけられ死ぬのだが、学校では自分の無知さ故に0点をとるのは妥当であり、誰も死なない優しい環境である。

学業から一旦身を引いた者として、ソクラテスのような人物が今いない状況なので問答法を自分自身に使用するほか無い。自問自答を続けていくことによって、”クラウドはオンプレの影絵に過ぎない”的な発言とかいつか言ってみたい。

問答法を活用しているときによく起こることは、問いが一生増え続けることだ。なので、問答法を活用する際には深さを事前に決めておく。自分の場合、深度1で問答法を活用している。

深度1

深度2の場合は、このようになる。

深度2

深度を増すことにより、時間は費やすことになるが習熟度は極まる。それと、深さを増すことにより同じ問いに出会うことも稀にあるが、問いの答えを一回でもすでに出しているのであれば同じ問いは回避しよう。

善悪やモラルなどのテーマだと、個人の価値観によって問答法を活用しても答えに辿り着けませんが、ある分野を理解しているか確認するなら問答法を活用すべきである。

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